ツイッターで頂いたお題です。
黒猫君とあゆみの場合:おいしいハチミツを指ですくってふたりで味見して、胸いっぱいの愛しい思いを伝えました。
#ほのぼのなふたり
https://shindanmaker.com/715149
うわ、やっばいお題が来てしまった。これが書かずにいられるか!



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「あゆみ、蜂蜜手に入れたぞ!」

 珍しく黒猫君が息せき切って部屋に駆け込んできた。どうやら森の中の道路整備を続けてるバッカス達が蜂の巣を駆除するのを手伝った戦利品のお裾分けらしい。差し出された壺を覗けば蜂の巣のかけらの入ったタップリの蜜が金色に輝いてた。

「す、凄い、凄いよ黒猫君!」

 甘い物に飢えてる私は壺の中身から目が離せない。

「お前ヨダレ垂れてる」
「え、だって……」

 恥ずかしがるのさえ忘れて指を伸ばしたら黒猫君にはたき落とされた。
「何してんだよ」

 突然の黒猫君の無体に一気に目の前が真っ暗になった。

「え? まさか分けてくれないの?」

 泣きそうになった私を見た黒猫君がギョッとして慌てて答える。

「そうじゃなくてな、壺から直接食べたら直ぐ固くなるだろ」

 そう言って「触るなよ」っともう一度私に釘を刺してからキッチンに行ってお皿を一枚取ってきてくれた。皿の上で壺を傾けると緩く輝く金色を帯びた透明な蜂蜜がトロトロとこぼれ落ちる。
 直ぐに傾きを元に戻すと壺の口を指で拭った黒猫君がその指をじっと見てる私と自分の指を見比べて仕方なさそうにその指を私の目の前に突き出してくれた。
 私は喜んでその指にしゃぶりつく。

「!!!」

 ねっとりとした甘さが口の中に広がって一気に幸せが私を満たしてくれる。顔が勝手にニマって戻ってくれない。ほんのちょっとも残したくなくて隅々まで黒猫君の指を味がしなくなるまでしゃぶり上げた。

「美味しい〜〜〜♡♡♡」

 舐め終えた私が感嘆の声とともに黒猫君を見れば唖然とした顔でこっちを見てる。
 あ、しまった。黒猫君、実はこれ自分で舐める気だったのか。
 申し訳ないことをしてしまった。
 私はおずおずと蜂蜜を自分の指で掬って黒猫君の目の前に差し出した。

「ごめん、先に舐めちゃった。代わりにほら」

 一瞬戸惑った顔になった黒猫君が、だけどすぐに意を決したように真剣な目で私の指を見つめてから私の手を両手で優しく包みこんで蜂蜜に浸かった私の指にしゃぶりついた。
 黒猫君は私みたいに一気に舐めちゃう気がないらしく、味わうようにチロチロと私の指を舐める。
 黒猫君の舌が蜂蜜ごと私の指を嬲るのがやけに擽ったい。

「黒猫君、擽ったいよ」

 私が文句を言ってるのに黒猫君はやめてくれない。擽ったくて手を引こうとするとそれを包み込む黒猫君の手に力が入り強く押さえ込んで逃してくれない。
 そのまま私の指を口に含みながらちらりと私を見上げてきた。黒猫君のカールした暗い色の髪の間から黒猫君の熱っぽい視線が私を見上げてる。黒猫君の温かい口内で黒猫君の柔らかい舌が私の指に絡まって最後の一滴まで余すことなく舐め取ろうと強く私の指を擦りあげていく。

「ちょ、もう蜂蜜付いてないから!」

 なんだか顔が熱くなってきて慌てて手を引っ込めた。
 見やれば黒猫君が満足そうに舌なめずりしながら妖しい視線でこっちを見つめてる。

「もっと欲しいだろ?」

 再度自分の指に蜂蜜をタップリ絡めて私に差し出してくる黒猫君。別に自分で出来るのにそうやって差し出されたら舐めない訳にいかないじゃん。
 仕方なくまたも黒猫君の指にしゃぶりつく。
 意地悪な黒猫君が口の中で私の舌から逃げるように指を動かすからそれを追って必死で舌を動かして指を舐めまくった。
 味がしなくなるたびに黒猫君がまた皿の蜂蜜に指を付けて私に与えてくれる。私はそれを無心で貪った。それを繰り返すうちに皿の上の蜂蜜はすっかりなくなっちゃってた。

「ご、ごめんなさい、つい一人で食べちゃった……」

 慌てて謝りながら顔を見れば黒猫君が真っ赤になって私を見つめてた。

「いいよ、お前の為に持って帰ってきたんだから。……残りはまた今度な」

 そう言って黒猫君が蜂蜜の壺に蓋をして私には届かない棚の一番上に安置した。
 いや、いくら私が蜂蜜好きでも黒猫君の目を盗んで舐めたりしないのに。

 それから黒猫君は暇を見つけては蜂蜜狩りに行ってくれるようになり、お陰で私は時にお茶に蜂蜜を垂らすという贅沢を覚えてしまった。
 ‎それからも何故か黒猫君は指で私に与える事にこだわるのでいつの間にか黒猫君の指イコール甘いと言う図式が私に刷り込まれていたことは彼にはナイショだ。

甘い指先 (完)




アルファポリスのお話はこちら(先行投稿中):異世界で黒猫君とマッタリ行きたい
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