前回の復習ですが。

 今年の9月、ツイッターで中七七三(@naka773さん主催の「アマチュア小説いくら稼げるかコンテスト大賞」第一回に参加させて頂き、生まれて初めてKindleで出版してきました。




 前回は出版されるまでの経緯でしたが、今回は出版して頂いてみた結果気づいた点、次回絶対やるぞっという戦略を幾つか入れていきたいと思います。


Kindle Unlimitedか、販売か

 この辺りは中七七三(@naka773)さんご自身のブログの方が詳しく書かれていますが、基本Kindle出版には大きく分けて2つの収入方法があります。(因みに彼のブログは色々R18です。肩越し注意)

 まず、普通に電子書籍販売。自分で決めた金額で販売可能です。詳しい情報は今後また時間とともに変わる気もしますが、2018年11月現在、小売価格が250円以下だと税引き後の約35%、それ以上だと約70%が出版主に入ります。
 70%のロイヤリティを選択するにはこのほかにも、出版する作品がオリジナルであり、他の媒体で配布されていない等の条件があります。
 この辺はやはり責任を持ちきれませんから細かい部分は以下をご覧になりご自分で確認してみてください。

Amazon Kindle Direct Publishing より(ページは日本語です)
  ロイヤリティ
  電子書籍の価格設定ページ
  希望小売価格の要件

 次にUnlimitedでの閲覧数によるロイヤリティについて説明しましょう。
 こちらはどちらかと言うと、オプションという形です。これを選択しても、一冊での電子書籍販売はそのまま残ります。
 読み手側ですが、すでにこのサービスをご利用の方もいらっしゃるかもしれませんが、Kindle Unlimited は月々定額(2018年11月現在980円/月)でUnlimitedに登録されている書籍が全て読み放題になるシステムです。
 Unlimitedの読者様が作品を1ページ読んでくださるごとに、出品者にはそれに対するロイヤリティが支払われます。
 言い換えれば、読者側は定額支払いで読めるけど、読んでもらった作者は1ページにつきいくらかを支払ってもらえるシステム、ということです。

 残念ながら、為替やその時の色々な規定で金額が変わるうえ、今回は中七七三さんにまかせっきりでしたのでここで具体的な支払いの数字は書けません。
 ですので細かいところは彼のブログのこの辺りをご覧ください。(くれぐれも、彼のブログはR18です。肩越し注意)

 さて、なんだかこのままだと人だよりなブログになってきましたが。
 実は、ここまでは『じゃあ、どうやって売るのか』という一番の要点を説明するための前振りになります(長かった・・・)。
 ここから少し私独自の考察、戦略などを書いていきたいと思います。


じゃあどうやって売る?

 Kindle出版の場合、出版自体はかなり自由が効く代わりに、販促・宣伝・校正・その他諸々、全部自分でやるしかないんです。
 今回私は中七七三さんのイーデスブックス様から出版しましたので、おんぶにだっこ、全てお任せコースでしたが、自主出版となるとそうもいきません。
 正直、全ての手間を考えると中七七三さんの所から出していただくのは決して悪くないと思います。
 (ご希望の方は直接ツイッターで彼にコンタクトを取ってください)
 ただ、自分で出すにしても中七七三さんの所から出すにしても、ある程度の戦略は必要です。
 それでは今回のメイン、出版とその後の勉強で学んだKindle Unlimitedで売るための出版ポイントを押さえていきましょう


・1冊のページ数は1万文字程度
 Kindleで初めて出版した場合、ぶっちゃけまず単体で買って下さるお客様はほとんどいらっしゃいません。有名作家でもない私の本を気まぐれで読んでくださるお客様はかなり奇特な方だけなのが現実でした。
 それじゃあなぜそれでもKindle出版をするのか。それはやっぱりUnlimitedの閲覧数から割り出されるロイヤリティからの収入が目当てです。今回のコンテストでも、結局ほぼ全て閲覧数で稼いでいました。
 それならページ数が物を言うのかといえば、悲しいかな、Unlimitedの読者様はあまりページ数を気にしてらっしゃる様子がありません。逆に手ごろに読める本のほうが好まれている気がしています。
 200ページ越えの私の努力はかなり無駄に終わってます。
 そして、正直に言ってしまいますが、まず手に取ってもらえなければそれまでなんですよね・・・。

 ページ数が少なければ閲覧数が稼げない。だけど長すぎても別に読んでもらえる保証はない。

 じゃあ、なぜ1万字程度かと言えば理由はいくつかあります。
 まず、閲覧数が適当であること。これでも大体30~40ページくらいにはなります。
 そして今までの小説家になろうなどの経験からも、それ以下だと一章にまとまらないからなんです。
 一冊でひとまず次が読みたいと思えるものを作り出す。それには1万文字、投稿サイトで通常約1万2千文字、4話分くらいで一冊が一番落ち着きます。


・小売価格設定は最低金額(250円)で
 そしてこれをロイヤリティ70%をもらえる最低金額の250円で出します。罪悪感はいりません。これが最低金額なんです。それを最初から・・・
 

・最低3冊は出すつもりで
 準備しましょう。なぜ最低3冊なのか。これは次の無料キャンペーンが理由です。


・無料キャンペーンを使い回す!
 無料キャンペーン・・・いい響きです。読者としては嬉しいサービスですよね。

 Kindleの無料キャンペーンは「この作品の販売価格が0円になりまーす」というサービスです。
 無論、その間、何人のお客様が何冊購入されても、出版元に入るロイヤリティは0円です。
 ですが、たとえ販売価格が無料でも、Unlimitedのお客様が閲覧して下さる分はちゃんと閲覧数にカウントされてロイヤリティが発生します。

 無料なのにUnlimitedに意味があるの?って思いますよね。
 これが結構思っていた以上に意味があってびっくりしました。
 どうもUnlimitedのお客様は、無料サービス中の本もそのままUnlimitedで読んでくださる方が結構いらっしゃるみたいです。

 とは言いつつも、これはまだオマケで、本当の目的はここではないのです。
 実はこれ、提供者にとっても非常にいい宣伝になるんです。

 現在、Kindleのホームページには有料と無料、二本立てのランキングが表示されています。
 こんなふうに。
amazon ranking


 新しく無料キャンペーンに作品を追加すると、これが結構簡単に上位に食い込んでくるんです。
 拙作も『ロマンス』と『SF・ホラー・ファンタジー』の2カテゴリーで一時無料タイトル1位を頂きました。
 この通り。
カテゴリー1位−2 (1)
カテゴリー1位−2

 これをうまく使ってまずは見てもらう。こっちが本命ポイント

 とにかくまだ無名の作家ですので、知ってもらわないと買ってもらえない。
 ここで表紙と題名のインパクトが重要なのは言うまでもありません。
 しっかり何度も目に焼き付けてもらう、これマーケティングとしてはとっても大事なのです。

 でも、じゃあなんで3冊以上?
 はい、まだ説明してませんでした。
 実はこの無料キャンペーン、2カ月に一度、たった5日しか出来ないんです。

 1巻が出て最初の新刊情報から零れ落ちるころ、一体何をしましょう?

 そう、2巻目を出すのです。
 そして1巻を無料キャンペーンにぶち込みます。

 1巻がランキングの上位に上がることで勝手に宣伝してくれる上、それをタダで読んで気に入ってくれたお客様が2冊目を買って下さる可能性もあるわけです。

 次は1月おいて3巻目をだし、一か月待ってまた1巻目をタダに!
 これを2カ月ごとに繰り返してもいいですし、出来れば続巻して6巻、6万字まで頑張って・・・


・まとめ単行本を出すのも手
 となるわけです。
 6巻までを一冊で収録。値段はもちろん6巻別々に買うよりは安く設定します。ついでに書下ろし特典なんてつけるのはとってもいいかもしれません。
 そしてこちらにはUnlimitedはつけてはいけません
 そう、こちらこそが買ってもらうための本になる訳です。


 ここまで書くと、一部の方は身に覚えがあるかと思います。
 はい、現行のTL漫画や小説の販売方法です。本当によくできてますよね~。
 買いますよ、1巻無料でハマった本を2巻目買って、これはいいと思えばその時点でまとめ単行本をって。
 各出版社様、流石ですよね。上にあげた1万字30ページ程度も、無料キャンペーンもまとめ本も、全て最近の電子出版では新しい主流になってきているようです。

 さて、このほかに細かい注意点もいくつか。

・一度決めたらカテゴリーはコロコロ変えない
 Kindleのカテゴリーは最大2つまで選べます。
 ラノベは多分現在最も読者の母数が大きく、読まれる可能性のあるカテゴリーだと思います。ですが、最初はいいのですが、カテゴリーに属する出版物もやはり最大数なので沈むとどこまでも沈んでいきます。
 そしてラノベはその他のカテゴリーの掛け持ちは出来ません。
 例えば、ラノベを捨ててロマンスやSF、ファンタジーといったカテゴリーを選ぶのも一つの手です。
 ロマンスやSFであれば、無料期間に一位になることも可能ですが、何せ読者の母数が少ないので上位にいても閲覧数は限られてしまいます。
 カテゴリーをコロコロ変えると折角上の無料キャンペーンなどで築いた知名度も無駄になります。正に私は今回これで失敗しました。
 どのカテゴリーに出すかは、幾つかのカテゴリーに入ってる本を見比べてよく考えて決めましょう。

・表紙はシンプルかつ目を引くもの
 これは今更ですが。電子書籍ってやっぱりスマホやタブレットで主に読まれてるんだと思います。そうすると、細かい表紙は思っていた以上にKindleに上げた時に見えなくなってしまうんです。

small screen
 ほら、こんなふうに。
左が拙作の表紙(表紙も自前です)、お隣がお友達の水田歩様の作品です。(注:こちらでの掲載は水田様に許可を頂いています)
 私の絵の出来は言うまでもないですが、やっぱり拙作は絵が細かすぎて見えにくいですよね。
 出版物にもよりますが、やはり主人公やヒーロー・ヒロインを前面に持ってきて、もう少しシンプルに見やすくすることが大切でした。


・タイトルはデカデカと
 これも上と同じく。Amazonのサイトで並ぶフォントのタイトルよりも、ランキングなどでは表紙のほうが目立つんです。ですから、やっぱりタイトルは大きいほうが正解です。


・誤字チェックは本当にしつこいくらい
 今回の出版で一番痛いおもいをして学んだのが、このKindleの誤字修正は非常に難しいってことです。
 前回のブログで説明したような、フォーマットの誤認による誤字脱字だらけの状態でさえ、中七七三さんがAmazonにお問い合わせくださってから変更に1週間近くかかっています。普通の誤字の場合、1か月近くかかることもあります。しかも、必ずしも以前買ってくださった方にまでその変更が届く保証がないんです。
 詳しくは改訂版の電子書籍のコンテンツを読者に送信するに説明されていますが、Kindleは訂正作業を保証していません。ですから必ず納得いくまでチェックして、確実な状態で出版に臨みたいものです。

 以上、とっても長くなりましたが私なりの考察でした。この経験が他の方の販売にもなにかしらお役に立つことをお祈りしています。
 念のため、こちらは全て作者の個人的な考察であり、このブログをもとに出版される方がいたとしても、筆者なんの責任も負えませんのであしからず。


 そして最後に。
 次回、出版の結果、私のロイヤリティはどこに・・・
 書けるかな?
 (本当にまだ書いてません)