折角『悪魔な旦那様と暮らしてます。』に四年越しの完結を付けたにも関わらず、ここ二日仕事に忙殺されて感慨を噛みしめる間もありませんでした。
 やっと週末仕事から解放されたので、本編で書ききれなかった溢れ話しを拾いつつ、アーロンたちのお話を振り返ってみようと思います。

 今回ブランクを埋める為に、久しぶりに『悪魔な魔法使いの弟子始めました。』の出だしを読み返してみたんですけど、ホントに「これ誰が読むの?」ってほど出だしのアーロンは最低ヤローでしたよね。
 でもその場面から私の物書き脳に湧いて来ちゃったので仕方ない。切り替えて書き直せるほどの器用さは私にはないんです。
 それに、結局最後まで、アーロンは人としては最低な部類ですし。
 だって人じゃないんですから。

 つくづく、アーロンは人間じゃないんですよね。人間に混じって生きてるけど、全く別の生き物。竜。
 アーロンはお話の始まり時点で既に竜族の戦いに勝ち抜いて、現在最強の竜王に治まっちゃってます。滅多にお城に帰って来ない無責任な王様ですが。
 裏設定として、実はまだアーロン並に強いって言われてる竜が数頭残っています。竜王への挑戦権を握ったまままだ行動を起こしてないだけなので、機会があれば襲ってくるかもしれません。ポートビル(竜王城の管理人さん)はそれをアーロンが積極的に潰しに行って全竜族を統べるのを望んでます。

 でも、父と母の狂った城から連れ出され、『最初の勇者』とともに自分自身の幸せを最優先にする生き方、つまりは「本当の意味での自由」を満喫する旅をしながら、当たり前に生きる時間を与えられたアーロンは、竜王の息子のクセにそんなものには全く興味がなくなってしまいました。
 一度は母の頼みを聞いてアレフィーリアの王宮にも入りますが、自分は望まれてない、そう理解するとさっさと逃げ出してます。
 いつかは女神や勇者の謎でも調べて会いに行こう、なんて呑気に旅してた先で牢屋に入れられてるアエリアにばったり再会しちゃいました。もうこの時点で保護欲マックスですよね。

 それまではピピンさんをハメてまで本当に好き勝手にやっていくつもりだったのが、アエリアに再会しちゃった為にその生き方はガラリと変わり、運命が絡まりまくった結果仕方なく人間の社会に身を沈めて生きることを選んだ訳です。
 アエリアを守りたい。
 その一心で、なるつもりもなかった竜王にもなり、アレフィーリアの女王の母にも頭を下げ、ピピンと組んでアエリアの存在を隠蔽しまくり。
幼い頃に別れた可愛いアエリアを守りたい、ただそれだけで、そんなに頑張って来たのに。

 それを当のアエリアは純真な好意と真っ直ぐな向上心のみで、自分からしゃしゃり出て来て壊してしまいます。

 俺様で、竜王様で、本当は隣国の第一王子でもあって、腕力魔力ともに世界最強で、頭も良くて、プライドもホントは高くて、ルトリアス国内でさえ魔導師としても魔導騎士団団長としてもその地位を極めてるにも関わらず、たった半年アエリアが出し続けた手紙のせいでそれまで積み上げた『アエリア絶対安全対策』の全てが水の泡にされちゃって。

 まあ、そりゃ怒りますよね。

 怒ってるけど、可愛い。可愛いくて仕方ない。会いたかったしやっと会えたし。
 でも忘れられてるし。
 忘れられてるし。

 と言うわけで、出だしのアーロンは本気で拗れまくってます。
 だって初恋だし。
 青春ですよね〜(作者もお手上げ)

 そんなアーロンもアエリアと無事結婚し、甘々な新婚生活を経て、徐々に自分の不自由な立場や一緒に生きる居場所なんてものにまで愛着が広がり始めました。
 今回のエンドレス・ラブでは、本当ならすぐ全部放り出してアエリアを探しに行きたいはずなのに、めちゃくちゃ我慢してます。
 結婚後、アエリアにずっと自分の愛情を肯定され続けたことで、いつの間にかアーロン自身の中にも愛したいもの、守りたいものが以前よりずっと増えちゃってました。
 兄代わりのピピンだけでなく、自分の幼い頃を彷彿とさせるウィリアム王子、アーノルドや義務で面倒をみてたに過ぎなかったはずの魔導騎士団。王城で働く人間や、その家族、果ては王城やその街に至るまで。
 アーロンは今までもこれからも、決して国の王になどなりたいと望みませんが、彼は竜なので、いつの間にか竜らしく街の守護者になってしまってたみたいですね。
 竜は貪欲なので、一度自分が所有した物には絶対手を出されたくありません。本当に守護欲と所有欲のオバケみたいですね。

 さてアエリアはと言いますと。こちらは解説もいらないほど素直なのですが、少しだけ本人が気づいてない点を。
 彼女は最初に牢の中から救ってくれたからアーロンを慕ってると思い込んでますが、知らない土地で拾ってくれた少年をそこまで信頼してしまったのは、多分もっと以前の記憶がどこかに残ってたからでしょう。実際、生まれた時から絶対に自分を守ってくれる相手として刷り込まれてきてました。出だしのアーロンのセクハラさえも結局許せてしまうほど。というか、実は口で言うほどセクハラとして認識してないんですよね。

 意識無意識はともかくとして、あの時点では二人ともお互いを義母兄弟の延長線上みたいな認識でいます。
 そんな相手に、なんかヤバい関係に一歩踏み出すかも?っていう中途半端で、有耶無耶で、恥ずかしくて、でもなぜかお互い構わずにはいられない……
 とかいうことは、結構後まで読まないと伝わらない、我ながら面倒なお話でした。

 別に、変質者扱いされたアーロンが不憫すぎて弁護したくてこれ書いてたわけじゃないはずなんですが、やけに言い訳がましくなっちゃいました。

 ちょっと話を変えまして。
 今回のエンドレス・ラブで、実は二回アチラの世界は滅亡しかけてます。
 まずはアエリアが古代魔法の転移陣で日本に帰っちゃったあと。
 伝説通り、竜になって飛び出したアーロンは理性を失って、世界を滅ぼすまで暴れまわるところでした。
 そして次は勇者の力を覚醒させちゃったアエリア。あのまま暴走してたらちょおっと力がこもり過ぎて世界は真っ二つに切り落とされてたかもしれません。
 女神様にはきっと色々見えちゃってたんでしょうね。
 だからアエリアとアーロンが理解した「今を大切に生きる」と言う心温まるメッセージは、お母さん視点では結構切実なお小言だったのかもしれません。

 結局、全編を読通せばこれ結局アーロンの源氏物語だった訳ですが(身も蓋もない)。
 これ以上しばらく続きを書く予定がないので、最後にちょっとだけ今後の展開を。
 アーロンもアエリアもこれからしばらくは生まれてきた双子に翻弄される人生になります。
 双子は土精霊の祝福を受けた男の子と火の精霊の祝福を受けた女の子。
 アーロンに呼び出され、ウィリアム王子はちょくちょく遊びに来て二人の面倒を押し付けられます。アーロンはウィリアム王子と娘の様子を見てるうちに過去の我が身を思い返して悶絶することでしょう。挙げ句はきっと娘はやれん、とどこかに隠してしまいます。
 アエリアは呑気に母業をしつつも高校を無事卒業。多分担任の先生は「未婚の身でなんで出産に悩まされるんだ!」って文句いいつつアエリアを助けてくれたはず。結果的に白髪が増えたけどそんな優しさを見染める同僚女教師と結婚できるかも?
 アーロンはちょくちょく日本にも通って、俊介に色々教わったりゲームにハマったりしてます。アエリアの学校にも顔を出して騒ぎを起こすのはお決まりですね。卒業式にも絶対来てるはず。

 想像は尽きませんが、作者の私もそろそろ一旦このお話を閉じなければいけません。
 終わりがあるからこそ、次が書けるのですから。
 と言うことで、長くなりましたがここまでお読みくださった皆様。本当に長い間お付き合い頂きありがとうございました。

 最後にちょっとだけお知らせを。完結させた自分へのご褒美に、個人的にこの作品の表紙絵を絵師様に依頼させて頂きました。
 近い将来ここもそれぞれのサイトも表紙を差し替えますので、宜しければそれをご覧に来てくださいませ。